| ■東京中央郵便局 | 東京の建築遺産50選 |
| 装飾を排し、抑制の効いた外観は、柱梁の真壁風構造によって、日本の伝統的建築がもつ明快性、簡素さという抽象化された美しさに共通するものをもっている。 外装の清楚な白タイルと、窓枠や内部の黒大理石張りの八角柱との対比にも、モノクロームな単純性と抽象性が宿る。近代的な素材、構造と、伝統を意鼓した建築表現の止揚は、明治末期の様式論争以来議論されてきたが、この建物には、その間題に対するひとつの解がみられる。建物は当時、来日していたブルーノ・タウト、アントニン・レーモンドらに、伊勢神宮、桂離宮にも通底する合理性・機能性と美の融合を高く評価されたと伝えられる。 設計者の吉田鉄郎は、鉄筋コンクリート造による建築表現の先駆者オーギュストベレに興味をひかれ、その研究にも取り組んでいた。また彼の机には、ドイツを中心とする、ヨーロッパの建築雑誌が常に山積みになっていたともいわれる。そして、30代の頃から日本の伝統文化にも強い関心を抱くようになっていった。西欧の最新潮流に敏感でありながら、自国の文化にも造詣が深かった吉田は、晩年、日本古来の建築や文化に関する3部作「日本の住宅」「日本の建築」「日本の庭園」を堪能なドイツ語で著している。 吉田のはかに、山口文象、山田守、岩本禄らを擁して、日本近代建築史に輝かしい足跡を残した逓信省経理局営繕課は、当時、規模・体制ともに、最も先進的な設計組織であり、デザインに対する自由な雰囲気を宿していたともいう。逓信省時代の富田が担当した他の建物には、京都電信電話会館(旧京都中央書誌局新上分局(1924)や大阪中央郵便局(1939)などがある。
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