■明治神宮宝物殿 東京の建築遺産50選
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明治神宮宝物殿は、明治天皇とその皇后・昭憲皇太后の遺物や由緒ある品を陳列・保存する建物としてつくられた。建設に先立つ1915年(大正4)には、設計図案の設計競技をおこない、そこでは耐震・耐火の構造体や、社殿に調和する様式の考慮などが条件とされた。
設計競技は、鉄筋コンクリート造や鉄骨造という新技術に向かい合いながら、その一方で「国民的様式」を模索していた、当時の建築界において多くの注目を集め、設計競技の書類交付385名、提出された応募案110点という記録を残している。設計競技では、1等から3等3席まで5案が入選したが、設計競技の後に、建物の用途が展示目的から保存を主としたものへと変更された為、実施案は、明治神宮造営局の技師・大江新太郎によって新しくつくられた。設計にあたっては、様式に伊東忠太、構造に佐
野利器ら、設計競技の時の審査員の指導も仰いでいる。
鉄筋コンクリート造で和風建築をつくることが試みられたが、その外観には、神社における宝物殿という性格を考慮して、正倉院などに見られる、日本古来の校倉式高床造りの様式が取り入れられた。また、伝統的な斗供を模した柱頭や、城郭の石垣を思わせる壁面の反りなどもみられる。その構成は、中蔵を中心に、東西蔵、東西廊、東西橋廊、正門、事務所からなり、各棟ごとに小刻みに分節化され、シンメトリックな配置をもってつくられた。建物の意匠は伝統的なものに負うところが多いが、その具体的な形や組み合わせ方、さらに前庭を含む建築構成などに、設計者の独自性が見られる。外壁は岡山県万成産の花崗岩張りとし、屋根は会津産の薬掛瓦が使われた。また、内部はヴオールト状の格天井をもつ。
現在でも竣工当時の姿をほぼ完全にとどめている。1986年(昭和61)には、当初の形をそのまま保存しながら、特製溝付こけら型塩焼瓦を用いて、屋根を全面葺き替えている。




建築年: 1921年(大正10)
設計者: 大江新太郎
管  理:  
施工者: 長崎橋本紙
面  積: 延床面積:1,702m2
構  造: 鉄骨鉄筋コンクリート造
規  模: 地上1階
所在地: 渋谷区代々木神園町1