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法規メルマガ12月号:小田圭吾法規委員長の法規コラムを掲載しました。

2015.12.10

【東京建築士会・法規委員長・小田圭吾の辛くち法規チェック】
当会が配信しているメールマガジン「法規メルマガ12月号」(12/10配信分)の法規コラムを掲載いたします。

 

■建築審査会による小石川マンション確認取消

平成27年11月2日付で、文京区小石川のマンションが、周辺住民の請求を受けた東京都建築審査会によって平成24年7月に下りた確認申請を取り消されました。同マンションは建物外観がほぼ完成していて、今年4月末には分譲完売されていたマンションです。規模は107戸、地下2階地上8階で斜面に建っていて、地下2階から地上2階までがそれぞれ地上に接しているとして4層が避難階とされ、指定確認検査機関の都市居住評価センターにより法適合確認がされたものです。

12月10日付の日経アーキテクチュアによれば、争点は地上1階にある大型駐車場(1階は住居も含む)で、東京都建築安全条例第32条第6号に定める大規模駐車場の技術基準に避難階以外の階に駐車場を設ける場合の避難階段設置義務に違反するため避難階ではないと説明し、階段に変わる傾斜路に幅3m以内の手すりが無いことや、1階の出口となる駐車場のスロープ(道路との高低差2.5m)が地上に通じる出入口の要件を満たすかなどが判断要因としています。

建築基準法は避難階の定義については用語の法令では示さず、施行令第13条(建築物の使用制限の避難施設等の範囲)の避難階のカッコ書きで「直接地上へ通ずる出入口のある階」と記載があるだけです。したがって、建築物から避難する人数や火災などからの安全性で「地上」かどうかを判断するものであり、避難階以外の階の通常使用における階段設置義務の要件とは判断基準が相違していると思われ東京都建築安全条例第32条第6号を引き合いに出す根拠は分かりません。また「地上」と「道路等」との識別も定かとは思えない記載内容であり、何を論じているのか不明です。共同住宅の上層階からの多数の避難を想定した窓先空地における避難経路は建築基準法の避難通路と同様に1.5mの有効幅員を求めてはいますが、本件はそれとも違います。

どちらにしても、今回の件は工事着工してから2年9か月後の確認取消となり、ほぼ完成している建築物を取壊すことを命じるのと同等な行政処分となることが経済活動を否定することができる制度として問題だと思います。本件は平成15年10月に事業者が土地を取得し、平成16年7月の東京建築検査機構の確認を駐車場の接道道路幅員が6m以下として東京都建築審査会が取消し、その後道路を含む開発許可でも何度か開発許可の審査請求が行われ、今回の取消しに至ったという経緯のようですが、12年かけて建設した建築物に事後的に確認無効とすることができるといった制度に疑問を感じます。

建築審査会は建築基準法第94条(不服申立て)に記載され、第2項で審査請求後1か月以内に裁決とされていますが、公開口頭審査などを考慮すると期間的には難しいでしょう。しかしながら6か月以上というのも問題だと思います。本件では平成24年9月に取消審査請求で平成27年11月と書かれています。これに限らず、平成10年建築基準法改正で民間の指定確認検査機関が創設されて以来、法第6条の2(指定を受けた者による確認)第11項で期限の定めなく特定行政庁が確認審査報告書を受けた後確認の取消が出来ることも問題です。どちらも6か月くらいまでしか取消権が無いようにしていただかないと、経済活動に支障が出るとともに、設計契約に基づく建築士の賠償責任が大問題となります。

これに類似した事案は、平成21年12月の新宿区タヌキの森(下落合)の3階建て長屋形式の2千800㎡のマンションがあります。形式は東京都建築安全条例に基づく認定制度による新宿区の接道認定を、最高裁が確認取消しという判決を出したことにより確定した事件です。この時の区の建築審査会は認定を区の裁量権として認めていました。

どちらもほぼ完成したマンションを解体し、何十億という建設費が無駄になり、社会的損失でもありますが、適法である確認と工事が出来る設計図書の納品義務を、設計契約により請負っているとされる建築士は心配でなりません。建築審査会の裁決や、裁判所の判決は疑わしきは罰せずの精神で、明らかに誰が見ても法適合していないというもの以外は取消の裁決や判決をしないようにしていただかないと、損失は測りかねません。法そのものに規定のないものを、審査委員や判事の情状で判断することが出来ないような制度に改めてほしいと思うのは小生だけでしょうか。


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